蟻ガトウ、サヨウナラ

大学の中庭で、黒大蟻が大量にいるのを発見した。
餌でも見つけたのかと思いきや、辺りには発見できず。
確か交尾を行う個体は、羽を持っているはず。
戦争かとも思ったけれど、どうも違う様子。
お尻の先を持ち上げるようにして、相手とすり合わせていた。
地球防衛軍の、蟻酸を飛ばしてくるようなポーズ)
 
何だろうと思いつつ観察していると、なにやら戦闘モードの2匹を発見。
ここでは仮にミッ鬼ィミ二ィと呼称することにしよう。
僕が見つけたとき、二匹は既に戦闘中盤に差し掛かっていた。
 
ミッ鬼ィは右後肢を砕かれ、ミ二ィは両前肢を半ば程で切断され、どちらも重傷であった。
一見するとミ二ィ不利に思えるも、ミ二ィミッ鬼ィの左触覚に喰らい付き、上からねじ伏せるような体勢。
このままでは蟻の『目』とも言うべき触覚を失ってしまう。
ミッ鬼ィ危うし。
手に汗握る展開である。
しかしミッ鬼ィも只者ではない。
ねじ伏せられつつも、なんと下から潜り込み、ミ二ィの喉元に喰らいついたのだ!
勝負アリである。
アリだけに、等と下らないことを考えてはいけない。
 
方やSanguine。
この日の発表に用いるパワーポイントのチェックに目を奪われ、決定的瞬間を見逃していた。
しかしこちらも必死である。
 
アリに話を戻そう。
首を締められつつも、触覚を離さないミ二ィ
命がけの攻防である。
その後も必死にもがくミ二ィであったが、抵抗むなしく首を切断されてしまった。
南無三。
 
しかし、恐ろしいのはここから。
首をもがれたにもかかわらず、ミ二ィミッ鬼ィの触覚に喰らいついたままだったのだ。
怖気すら感じる執念。
ミッ鬼ィは自由になろうと躍起になっていたものの、まるで外れる気配が無い。
平将門も真っ青である。
頭を二つ持った奇形に見えるのが、また不気味。
隣では首の無い死体が前肢をばたつかせていた。
そしてさらにその隣では、時間が足りないとSangiuneが頭を抱えていたのである。
正に地獄絵図。
 
そんな夏の朝の風景が、道行く人々に深い感動を与え、記憶に刻んだことは間違いのない事実であろう。